3Dコンテンツの普及は望ましいことです。
しかし、既存のコンテンツホルダーたちには
ここ最近メーカーから相次いで発売された
2D→3Dのリニア変換テレビは悩みの種なのです。
これは普通の映像を
自動的に強引に3D映像に変えてしまうテレビです。
一部では注目の商品としてかなり話題になっています。
放送業界ではポケモン事件はトラウマになっています。
少数ではあるが確実に存在する光過敏症の人々にとって、
激しい光明滅は健康被害を産みました。
あの事件のときには日本で数百人の子どもたちが病院に運ばれ、
100人以上が入院を余儀なくされました。
ご存じの通り、3D映像は人によって苦手な人が若干存在します。
3D映像を認識できないばかりか
疲労感を感じたり、気持ち悪くなったり、
極端な場合には嘔吐や酷い倦怠感を感じる人もいるのです。
「少数であっても2度と視聴者に健康被害を産んではならない」
「番組を見ることで視聴者に害が及ぶ事はあってはならない」
というのが放送業界でのここ数年の取り組みです。
テレビ映像が光の明滅で構成されるため
光過敏症を完全に無くすことはできません。
同様に、3D映像も視聴者の中に耐性を克服しきれない人々が存在します。
それでも3D映像が3D映像として十分に計算しつくされて製作されたものなら
問題は少なくなってきています。
極端な飛び出し・奥行映像の長時間連続、
それにあり得ない映像視差いによる破綻した映像などは
製作者側で回避する映像技術を身に付け始めているからです。
しかし、2D→3Dのリニア変換は強制的に3Dにしてしまうものです。
作り手は3Dとして見られる事など想定していません。
急な飛び出し映像などが続いて、3Dに耐性の無い人々がバタバタ倒れた時
いったい誰が責任をとるのでしょう?
コンテンツ制作者ですか?
メーカーですか?
PL法が適用されるのでしょうか?
せっかく育っている3D産業に冷や水をかけることにもなりかねません。
CEATECの3Dを見た人々の感想に
「ゴロ寝して見られないのが難」というのが多かったのが少し恐怖です。
3D映像を見るためのリテラシーが一般に広まる前に
製品が出回っている感が強いのです。
3Dに対する耐性を持っていない人々は
光過敏症の人々以上に多くいると思われています。
正対、適度な距離、明るい部屋で視聴、幼児には注意などの
3Dリテラシーの普及もあわせてするのが業界の義務だと思います。
特に2D→3Dのリニア強制変換においては注意喚起が必要だと思います。
正しい3D普及のためにも
3D視聴リテラシーの啓発が必要でしょう。
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